10年目のGolden Circle

ゴールデンサークルは常に「僕でいいのかな」っていう、おこがましい気持ちと、「僕だからできる」という自信の間で揺れながら続けてきたイベントだ。

基本的には「出てください」と、“お願い”する事が仕事で、それがますとても心苦しい。特に親しければ親しいほど「気を使ってくれてんだろうな」という気持ちになる。

ゆずの二人はその最たるアーティスト。何かにつけ「出てくれる?」とお願いしてきた。桜井はいつもの、あの笑顔で「ゴールデンサークルはいつでも出るよ」と言ってくれる。民生っちは、夏の忙しい時、フェスの翌日にデモテープを送ってくれた。ジュンスカのメンバーも「ゴールデンサークルをジュンスカ復活の一番目と終わりにしよう」と気遣ってくれた。

そして、リスペクトするアーティスト達。ユーミンは「ゴールデンサークルがあったから、自分がミュージシャンだと再確認できた」と、自身のアルバムのspecial thanksに僕の名前を書いてくれた。小田さんは、二つ返事で「ウタガデキタヨ」の参加を快諾してくれ、僕がリクエストした歌のパート、コーラスアレンジも次々と応えてくれた。チャボさんの事を書いた「飲んだくれジョニーを捜して」。この曲にチャボさんのスライドギターが入った瞬間の感動は今も忘れられない。スタレビの要さんは「ゴールデンサークルはまだ終わってない」と、下北のライブハウスにまでゲストで出てくれた。かまやつさんは、その生き方で僕等をいつも勇気づけてくれる。

そして。
キヨシローさんは「やっとゴールデンサークルに登場だぜ」と、自転車に乗って、会場にやってきた。あの日一緒に歌った『気持ちE』は、僕は死ぬ瞬間まで思い出さないように努力するつもりだ(当日のビデオもまだ観ていない)。キヨシローさんに「ずっと前を向いて音楽やっていきます」と誇れるように。

そして今ここに『Golden Circle』が完成した。ここにあるのは、何の打算も目的もなく、ただ「音楽」に集まった人達の純粋な「ウタ」だ。

見てください!この世代を超えた壮観な景色を。音楽の素晴らしさを。

こんな風に音楽は永遠に輝けるサークルを描いてゆくのだろう。そしてこのアルバムのおかげで、ほんの少し「僕だからできる」という自信は強まった。

寺岡呼人


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