Vol.013 2003.02.28 ON AIR |
| BLUES MAN:OTIS RUSH
O.A曲名:All Your Love
from CD:BLUES INTERACTION Live In Japan 1986 With Break Down
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はーい、「ムーンドッグアワー」を聞いてるみんな、起きているかあ〜、原島、小杉、元気か〜。えー今夜も始まりました、この時間は、私、仲井戸“CHABO”麗市がお送りする、深夜3時のBLUESプログラム、仲井戸“CHABO”麗市『THREE O'CLOK BLUES』をお送りしまーす。今夜もよろしく、っという訳で、2月最後の日です。早いですねえ〜、まだなんかこの間まで正月だったような…いい加減にしろ(笑)でも2月ってなんか、いつも早えななんて思っちゃうね。たった2日間ぐらいしか通常の月より短かくないのに、なんか2月って早いような。ま、うるう年みたいな4年に一遍だっけ?あるけどね。今年は2月28日、今日で終わりだね。きっと受験生の奴なんかも、もう行く道は決まっている訳だよね、今日なんかね、今日っていうかこの時点で。落っこった奴は落っこった訳だし、入った奴は入った、そういう訳じゃ、もうジタバタしても明日から行く道っていうのは決まっている頃だね。
俺もまあ、高校…ま、高校時代はぐちゃぐちゃな、しょうがない高校生だったんだけど。ま、高校三年…一応卒業っていうかな、なんとかした時の2月っていうのは独特な感じ、なんか覚えているね。これから…高校は出ちゃうんだけど、どうしたらいいのかなあみたいな。大学受ける気もないしとか、もちろんバンド小僧だからBANDなんだけど、それで仕事をしていくとか、全く無い訳だから。仕事出来るなんて全く思っていない訳。その…なんか「どうしたらいいんだろう?明日から、何処行きやぁみたいな。新宿の街、このままうろついてりゃいいのかなあ?そうでもないのかな〜」とか、そういう自分のフラフラしていた気持ちの2月の終わりってなんか覚えているんだよね。みんなはどうでしょうかね。原島、小杉はどんな2月の終わりの気分を迎えているでしょうかね。原島はきっと先週のバレンタインでチョコレートもらわなかったって、まだそれにきっと引っ掛かって…あ、先々週ですね(笑)えー引っ掛かってる。勝手に決めつけてますね(笑)すいませんね、原島君って訳ですね。でも暖ったかくなる感じを、感じ始めるってなんか、やっぱりいいよね。それはしょうがないティーンエイジ時代を過ごした俺でも、暖ったかくなると「なんかいいなあ〜女の子ちょっと薄着になるかなあ〜」とか、そういう楽しみがありますね。なんかいいですよね、もうすぐ暖ったかくなるね、まだもうちょっと寒いけど。
という訳で、はいっ、今日選んだBLUES MAN、最近ちょっと…だいたい最初っから人選は悩んでいたんだけど、そういうのに非常に悩むタイプで、それで月の終わりっていうのは、一緒にこの番組作ってくれているディレクターの青年、松葉青年にですね、もうBLUES大変詳しいんで「君にまかせるよ!」と、広い心をみんなに感じさせようと思って、そういう企画にしているんです。本当は自分で選びきれなくて「頼むよ、松葉」みたいな感じなんだけど(笑)えー、彼にまかせている訳です、4週目は。なんかちょっとそれも楽しみになってきていてね。先週はチャーリー・パットンっていう、もうほんとに「なあ〜んだソレ」みたいな、ジージーいってるような大昔の人を聞いてもらったんだけど、若々しい松葉君はどういうの選んでくるかって、その切り口が楽しみになっている訳ですけども。今日、彼が選んでくれたのは、こういう人を選んでくれましたね。さっすがにヤツはデキルなあと思いましたね。オーティス・ラッシュっていう人なんだね。これは現役の人です。つまりまだ…非常に俺のこの番組、亡くなっちゃった人とか、なんか多い訳だけど、現役の人ってのあんまりいないけど、オーティス・ラッシュ、バリバリ、シカゴでまだやってますね。1934年4月29日生まれだそうです。これは昭和天皇と、ちなみに同じ誕生日です。あんまり関係ないけど。4月29日って昔、俺たちなんかとても嬉しい日だったね。今の天皇陛下の年末の休みってあんまり嬉しく…あんまりそんなこと言うと怖いですね(笑)…えー、4月29日生まれだそうですね、オーティス・ラッシュ。ミシシッピー、フィラデルフィア生まれですね。
まずこの人の大きな特徴は左利きなんですねえ。去年来たポール・マッカートニーさんと同じだけど、ポールさんっていうのは楽器を左利きだから、弦を張り替えて左用にして弾くわけだけども、メモに松葉君が書いてくれたように、右利きのギター、当時あんまり左利き用のギターなんて無いでしょうね。今、東京のお茶の水なんか行くと左利き用専用フロアーなんか沢山あってね、便利だけど。つまり右利き用のギターをそのままひっくり返して…えー、甲斐よしひろ君はそうやって弾いているらしいね。彼は意外な力がありますねえ、俺昔、「甲斐バンドなんてイモだよ」なんて暴言吐いてたんですけど、一回彼にゲストで呼んでもらってから「甲斐君はいいねえ」なんて言ってるんですけどもね。彼はそうやってギター弾いているらしいねー。だからオーティス・ラッシュと甲斐よしひろってのはつながっているのかも知れないね。それ、すごいよね、松葉君ねえ。チョーキングっていうギターの奏法(♪ギターを弾く)こういうチョーキングっていう…弦を持ち上げている訳だね、俺たちみたいな右利きは。でもこれを逆さまにしているわけで、彼は、オーティス・ラッシュみたいな人はこう…(♪ギターを弾く)下げているっていうことらしいね、チョーキングを。で、アルバート・キングさんって、もしかしたら来月かけるかもしれないけど、彼もこういうスタイルで弾いてて、それはだからとても…(♪ギターを弾く)これが逆だから、不思議なタッチに響くという…これはすごい不思議だよね。そういうところをスティービィー・レイ・ボーンさんとか、右利きのレイ・ボーンがコピーして、その…また面白さがレイ・ボーンのギターに生まれたのかもしれないね。そういう…まずは特徴のある人です。
それからこの人は…ついギターばっかに、この番組のBLUESって、別にギターに限った音楽じゃないんだけど、俺も松葉君もやっぱりギター好きだから、番組でかけているBLUES MANもギタリストがついつい多くなっているけどね。一回、ソニー・ボーイ・ウイリアムスンってハーモニカの人、やったけどギターに集中しちゃうけど、この人は唄もすごいですね。BLUES MANってギターではイケてんだけど唄は弱いなんていう人、結構いるんだけど、この人はゴスペルじゃないけど、相当唄がすごくて、その…両方持っているっていうかな。ちょっとここんとこ、まあ年齢も高齢だし身体ちょっと壊したりして、それからなんかレコード会社とのいろんな難しい…BLUES MANってそういう人多いんだけど、なんか騙されちゃったりとか、そういうことで1980年代はちょっと不遇な時代を送ったりとか、そういう時代もあったんだけど、最近はまた新譜とかも出してますね。俺は残念なことに現役の彼、生を観たことないんです。日本にも何回か来日しているんだけど、日比谷野外音楽堂なんかのにも出てたりとか、そのLIVE音源なんかもあるんだよね、それは俺、音源として持ってんだけど。一回、まだ元気なうちに観たいですね、是非。それから奥さんは、その初来日の時に出会った日本人のマサキさんという人ですね。このマサキさんが彼をとても支えていて、ある意味マネージャーだったりとか、そんな二人のやりとりも、とてもホットに伝わってきます。シカゴで今、バリバリやっているんだよね。バディ・ガイ、彼が初めてシカゴに出て来てステージに立たせてもらったのは、このオーティス・ラッシュさんのステージらしいね。「若いの、弾いてみろよ」みたいなことで、バディが今だに感謝しているっていう。いいですねえ〜、そういう繋がりっていいですね。
それからね、これはよく自分の本にも書いたんだけど、オーティス・ラッシュさんが発言した言葉が俺の胸に突き刺さった一言があるんです。それはインタビューアの人が、いろんなインタビューをした最後にオーティスさんに「あなたにとってBLUESとは何ですか?」って究極の質問をした訳ですね。俺なんかもインタビューなんかをしてもらうんだけど、「チャボさんにとってROCKって何ですか?」って言われた時、相当答えるのが難しいんだよね。「イエー!」って言っちゃえばあれなんだけど、もうちょっとなんか言いたいとか思うと、ROCKって自分にとって何だろう?って定義がなかなか言えないんだけど、オーティス・ラッシュさんの言った一言はコレでした。俺の想像した答えと全然違っていた一言でした、これで俺は感激したんだけど。「仕事だよ」って言ったんだよ。すっごいなあって思った。それ以来、俺の音楽人生、俺は五十いくつだけど、なんか頭ガーンって叩かれてね、チマチマしたことに悩んでいた自分がぶっ飛んじゃったの。それ以来、俺はね「ROCKは仕事だよ」とかね、少し言えるようになったの。冗談じゃないと思って、なんか都合のいい時だけね、なんか自分の…今だにこう…先々週、おまわりに捕まった話したけどさ、パトカーに呼ばれて「仕事って何ですか?」って言われた時に“ミュージシャン”って書こうと思うんだけど“自由業”って書いちゃう、自分っていうのが悔しくて情けなくてさ。今度はね、おまわりに捕まってもね「俺、仕事、ROCKです」とかね、「オイROCKだよっ」って言うと永ちゃんになっちゃうけどさ、“冗談じゃない、俺はこれで家族養っているんだぞ”とか、きっとオーティスさんは、そういう意味合いを込めて言ったんだと思うんだけど。そういうことは俺はとても教わった人です。ちょっと長くなりましたけど興奮して(笑)じゃあ、今日はディレクターの松葉君が選んでくれた素晴らしい、オーティス・ラッシュさんの…これは彼の持ち歌の中でも最高峰の一曲だね。イギリスのクラプトンを始め、ジミー・ペイジを始め、ジェフ・ベックを始め…と沢山の人がこの曲を若い時にコピーしたと思うけど。これはどっかのLIVEらしいね、松葉君がジャケット無くしちゃったんで、何処のLIVEかわかんないんだけど。こういう曲を聴いてください。また来週、会いしましょう。オーティス・ラッシュさんの名演で「ALL YOUR LOVE」。
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