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チャーリー・パットンというブルースマン。サン・ハウスへ、ハウリン・ウルフへ、ロバート・ジョンソン達へ、やがてはストーンズ達やE.クラプトン達へと引き継がれて行くブルースの大元に存在する様な人だ。そのC.パットンが生涯の日々の多くを過ごし、唄った場所がドッカリー・ファームというブルース発祥の地とも言われるプランテーション(農園)だ。我等は地図にはないその聖地へと繰り出した。行けども行けども綿花畑と大空とガス・スタンドってなハイウェイ61を右に左に迷いながらドライブ。何度となくめげそうな気持ちをジャンプさせて、我等はとうとうその場所を探しあてた。ムー! ここか......。何もなーい! 草っぱらだ。ムー、人も居なーい! ムー、ディープだ。
しかし前方に見える堀っ立て小屋には確かにドッカリー・ファームと書いてある。よく見ればその右奥には母屋らしき建物。犬もいる。どうやら人の気配も。とにもかくにも二十世紀初頭、C・パットン達が唄い、ギター掻き鳴らしていた場所が、今我等が立っているこの場所なのだ。ここで働く人々が土曜の夜ごとに唄い踊ったという大騒ぎの面影など勿論どこにもない。だがこの場所がなければストーンズやE.クラプトン、いやいやR&R自体さえ無かったかも知れぬなどと思えば感慨深げな仲井戸君であった。

やぶ蚊とバッタの草っぱらを掻き分け、堀っ立て小屋を背にビデオ撮影。ミニ・ギターをつま弾けば、ムー、なんだか本物のサウンドがする気になるのであった。
彼等にとって唄は何だったんだろう?
ギターは? そしてブルースは?
彼等になったことのない僕にはわからない。
しかし多分、いやもしかしたらきっと、唄う事への、ギターを掻き鳴らすことへの、言葉にならぬ衝動なら、とても近いものがあったのかも知れない。
たとえ時代や環境が大きく違っていたとしても......。
だからこそブルースは今もここにあるのかも知れない......。

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